海外生活を始めた最初の頃は、それこそ戸惑いの連続だった。
英語力不足のために意思疎通がうまくいかず、ことが思い通りに進まないのは当たり前。
また、文化や習慣・考え方の違いに「日本だったらこうなのに!」なんてイライラしたり、時には立ち直れないほど落ち込んだりして。
違いに気づいてからは楽になってきた
しかし、ここは海外。
そもそも日本に住んでいるわけじゃないのに、日本式や日本クオリティへの淡い期待をしてしまう自分が間違っていた。
顔が似ていたとしても、相手も同じ価値観や文化を持っているとは限らない。
「郷に入れば郷に従え」って言葉があるように、現地でのやり方やマインドを少しずつ学び、違いに気づき、理解ができるように努めることが大切だ。
時間はかかったけれど、少しずつ諦めとも言えるような気持ちと理解力のようなものが増えてきてからは楽になってきた。
日本では消費者の立場が強い
様々な経験を隔てて、ある程度のことは「さもありなん」と流せるようになってきた今、改めて思うことがある。
日本では、如何に消費者という立場が強く、甘やかされた生活ができていたのかということを。
ということで、今回はそういった中から美容院の話。
好みや悩みをわかってくれる美容室へ通いたい
以前どこかで書いたかもしれないが、海外に出て以来美容室が嫌いになった。
正確に書けば、新しい美容室へ行くことが好きではない。
毛量は多く、硬く、外側からはわからないけれど内側に少しクセがある。
カナダでは、沢山の人から髪の毛のクオリティーを褒めてもらえたり羨ましいと言ってもらえたりするので驚いた。しかし、自分としては扱いづらい髪の毛をしているので、髪の毛の特性と仕上がりの好みをわかってくれる人の元へ通いたいの。
日本でのお気に入りの美容室は少し変わったカットをするところだった。
他の美容院へ浮気すると、独特のカットのために美容師さんに嫌がられる傾向があった。
ということもあり、担当してくれていた美容師さんが移動等でいなくなってしまっても、履歴が残っている同じ美容室へ通っていた。
日本でもこだわりがあったので、海外に住むとなるとさらに難しい。
韓国の美容師さんはダイレクト
韓国・ソウルに住んでいた頃、知り合いのおすすめの美容院へ何度か行ってみたけれど、文化の違いにより毎度嫌な思いをした。
韓国はダイレクト文化なので、美容師も非常にストレートに物言いをする。
美容師:
アナタは丸顔だから、その前髪にしたら顔を大きく見せるからダメです。
こんなに髪の毛が多いのは初めてだ。
一体どこから手を付けたら良いのか・・・
嗚呼、やってもやっても全然終わりが見えない。
・・・
それは髪の毛が多いからできないんです。
多いから仕方ないんですねー。
髪の毛が多いから・・・
髪の毛が多いから・・・
などと、作業中もブツクサ言われながら手を進められる。
挙句の果てに「ふぅー。なんとか形になりました」と言われることもあった。
確かに髪の毛は多いけれどサ、ここまでクドクド言うことはないんでないの?
信頼している美容師さんだったり定評のある美容師さんらがやってくれたら、次の来店までは手のかからないように上手に仕上げてくれていたし。
アナタの技術がないんでないの?って、韓国芸能人御用達の美容室でも思ってしまった・・と、ここでコッソリ。
ところで、反対に、
毛量が少ないことで悩む韓国女子によると、彼女は逆に「髪の毛が少なくて切るのはラクだ。でも、少なすぎてハゲ(頭皮と言ってたかな?)が隠しきれないね。どうしたもんか・・・」と言われたそうだ。
それでも、「こう言われたよー(><)・。」なんて言いながらも、彼女はその美容師の腕を見込んで同じところへ通いつめていた。
髪の毛が少ない人は多く、多い人は少なくみせたいもの。
また、クセ毛の人はクセが目立たないように、直毛の人は直毛でも大丈夫なように・・等と、客は何らかの悩みを持ちながらも、淡い期待を持って美容室へ出向く。
そして、どうにかしようと頑張ってくれるのが美容師の仕事ではないのか。
このように考えていた自分は、韓国美容師らの度重なるど直球発言に強い衝撃を受けた。
その通り。
おっしゃる通りなんだけど、こっちは日々それを気にして生きているのよ。
もうちょっと他に言い方ないのかね?
当時はいつもそう思っていて、どこへ行っても美容師からの心無い発言に、傷ついたり苛ついたりしていた。
私の場合、韓国語の理解力が低く拾える単語が簡単なものしか無いために、余計に分かる単語のインパクトが強かったということも言えるだろうけれど。
数箇所の美容院を試した後はきっぱりと諦め、日本へ旅行する際に全て日本の美容室で済ます方向へとシフトチェンジした。
カナダで美容室難民です
美容室難民であることは、カナダに来ても変わらない。
さすがにカナダともなるとしょっちゅう日本へ行くわけにもいかないし、かと言って、大都市のように日本人美容師の中からお気に入りの人を探し出せるほどの人数がそもそもいない。
ローカルの美容師さんの仕上がりはイマイチ、もしくは不満であるのにもかかわらず、カット90ドル+チップ(30%)くらいは考えないといけない。
私が良い人に出会えていないだけかもしれないけれど、どうしてもコスパが悪いかなぁと思ってしまったり、ね。
結局、カナダでも韓国美容師のところへ行ってみた
少し前に韓国人の知りあいの話から、ビューティープロダクト系サロンで10年経験を積んだ、腕に確かな定評のある人物がこの町にいることがわかった。
それでもしばらくはためらっていた。
だって、お金を払ってまで傷つきたくないもの。
そうこうしている間にも髪の毛はどんどん伸びてきて、手入れに時間がかかるようになりつつある。
そんな折に夫がカットへ出かけたところ、なかなか素敵な仕上がりになって帰ってきた。
噂になるだけあるなぁーと思ったことと、夫に促されたこともあり、ついに自分も重い腰を上げて出かけることにした。
客の希望を却下する韓国人美容師
しっかし、やっぱり韓国人はハッキリしてますな。
(繊細な気遣いのできる韓国女子の友もいるので、全員が全員というわけではないよ)
まず、現地の日本人自体が少ないので、彼は日本人の好みをあまり知らないようだった。
加えて、コミュニケーションがうまくいかない。
7年カナダで生活をしているとのことで、勝手に英語で会話ができるだろうと思い込んでいたけれど、彼は英語ができないようだったし、私は韓国語での会話ができない。
それなのに、「NO」という主張はキッチリと伝えてきた。
結局、英語では会話が成立しなかったので、夫が韓国語でやりとりしてくれたけれど、それでも自分の希望は一切叶わなかった。
自分のスタンスを貫く韓国人美容師
経験のある韓国人は、ますます頑固になりがちだ。
どうも彼は、私の顔と頭の形の作りを見た瞬間に、仕上がるべきヘアースタイルが頭の中で決まっていて、それ以外は一切受け付けないというスタンスだった。
このような前髪を作りたい → NO
では、ただ前髪を作りたい → NO
髪の毛を軽くしたいが、毛先がハネやすくなる外側だけを軽くするカットは避けてほしい → NO
長さを短くしてほしい → NO
毛のダメージ等により物理的に出来ないってことなら理解できるけれど、「丸顔だからダメです」「頭の形がなんとかだからダメです」「似合わないから無理です」ってのは客の希望に添えていないんだから、プロとして失格なんじゃないかしら?
それとも、自分の美学に反するカットはできないっていうのが、プロフェッショナリズム???
君 何ナノ?
往年の大女優か何かナノ?
統計から結果が出ていたりするのかもしれないけどさ、そういうことじゃないの。
似合わなくてもいいの。一回してみたいのさ。っておなごのマインドを彼はわかってくれなかった。
二度と行くもんか!
思っていたより仕上がりは悪くはなかった。
だけれど、そもそもの希望が一切叶わなかったこと、また、彼が数をこなして稼ぐってスタンスのために、最初のカウンセリングに5分と時間をかけてくれなかったことも不満だった。
結局、私は「二度と行くもんか!」という感想を持って美容室を後にした。
一方、韓国夫の方は「日本人は難しいな~」という感想を持っていた。
ここに日本人と韓国人の文化の違いがやはり出てくる。
日本ではないので、「日本だったら・・」はやめるべき
わかってる。
海外に住んでいる手前、「日本だったら・・」と考えるクセはやめた方が良いし、彼の意見もある程度は甘んじるべきだ。
また、夫に促されたとは言えど、韓国人の美容師を選んで足を運んだのは結局自分自身なのだ。
仕上がりは気に入ってはいないが、悪くはなかった。
それに、チップを入れても$40もしなかった。
現地カナダの美容室の半額以下だ。
「ありがたい」と思うようにしよう。
おわりに
・・・と、書いてみたけれど、現実はなかなかねー。
こうして、美容室嫌いが好きへと転じる機会を今回も失ってしまった。
次日本へ行ける時まで待っていたら、ラプンツェルくらいの長さになってしまいそうだけど、とりあえず最近できた韓国カラオケへ行って歌ってスッキリできたから、今回のことはもういいわ。
期待値はいつだって低い方が良い。
期待するから裏切られたって感じちゃったりするのよね。
さもありなん。さもありなん~。
これを合言葉にして、もう少し心穏やかに過ごせるように心掛けたいものだわ。