郵便受けの中に、見慣れない封筒が混じっていた。
沢山の折込チラシがかさばっている中で、郵便配達員の配慮なのか、一番上にその封筒が置かれていた。
月曜日から通うことになっているカレッジからだった。
開けてみると、一枚の紙が入っていた。
『 親愛なるアリーナへ
おめでとうございます!
貴殿に◯◯学部への入学条件をオファーすることに興奮しています。
レベル:ディプロマ
期間:2018.秋~2020.春
つきましては、貴殿の席を確定させるために、
1月末までに返金不可の授業料$800を保証金としてお収め下さい。
授業料のデポジットが期日までに確認されない場合、
他の候補者へ君の席は受け渡されます。 (以下省略)』
やはりお金の催促か~いッ!!!
この学校へは、沢山のローカルの人たちからの薦めで通学を決めた。
カナダ人たちは「可能ならばこの学校を出るべきだ」と、皆一様に仰せになる。
確かに就職率も良く、いわゆる地元で定評のある学校っていうやつだ。
ところで、自分はまだ学部・専攻を未だに決められずにいる。
一応興味のある学部に幾つか申請はしていたけれど、戻ってこない入学保証金$800はさすがに高い。しかも、ここは公立のカレッジだ。
いくつかの専攻に出願して、最終的に1つに絞ろうと思っていたけれど、2018年秋始まりだというのに、支払いの期日もわりとすぐのことで、なお驚いた。
おまけに私の場合、英語の最終クラス(EAP)が明日から始まるといった有様なので、現段階でクラスをパスできるのかなんてことは当然わからない。何なら、ギリギリ合格基準をパスするくらいならば、納得がいくまでクラスをやり直し、きちんと力をつけておきたいという気持ちも芽生えつつある。
また、デポジットを払ったところで、その後に、面接だとか入学試験だとかも当然控えている。
もう一度書くけど、ここは公立カレッジである。
デポジット額、$200くらいじゃダメなのかしら。
どうしたもんかねぇーと思って、何気なく学校の評価・口コミを読んでみたら、”ここは金儲け主義だ”みたいな文句がやはりいくつか書かれていた。
そういえば、少し前にここの学校はトップが交代したんだったかな。公立とは言えど、経営陣によって、方針も変わってしまうのかしら。よくわからないけれど。
届いた通知書を何度も読み返しては、戻ってこないデポジットを一応払うべきか否か、ひたすら考え続けているが、今のところまだ答えは出ない。
外の景色を眺めては遠い目をしている、冬休み最終日の夕べである。